SSブログ

農水省が食肉表示指針案・大事なのはこれに携わる者の良識だ [ニュース]

「外国産和牛」認めません 食肉表示で農水省が指針案

農林水産省は18日、「和牛」と表示できる牛肉を国産に限定する食肉表示ガイドライン案をまとめた。海外でも和牛が生産されており、「外国産に和牛表示を認めると消費者が産地や品質を誤認する」と懸念したためだ。国民から意見を聞く手続きを経て、今年度中にガイドラインとして確定させたい考えだ。

案では、日本固有の肉用牛である黒毛、褐毛(赤毛)和種や日本短角種、無角和種の4品種か、それぞれが掛け合わされた牛で、国内で生まれ育ったことが証明できた生肉だけを「和牛」と表示して販売できるとしている。ホルスタインなど別の品種の「国産牛」とは区別して表示することになる。

記事の続きは http://www.asahi.com/life/update/1218/010.html


『国民から意見を聞く手続きを経て・・・』って、まだやる気かよ“やらせTM・公聴会”を。学習能力が無いというか、それとも鼻から庶民をバカにしているのか、いずれにしても国民が舐められているのだけは確かなようだ。

さて、明確な指針を示すことに反対ではないですが、この記事を読んでいるだけも混乱しそうになるのは私だけでしょうか。そもそも、表示における今日の混乱を招いた原因は、毎度の事ながら後手々々の行政にあるのです。“和牛”というがいつ頃から使われだしたかは知りませんが、多くの消費者は“和牛=国産牛=黒毛牛”と思っていたという話もあります。つまり消費者は“和牛=高級食材”というプレミアムの妄想を勝手に抱いていたわけですが、“黒いダイヤ”に旨味を覚えた関係者がその誤解を説くためには相当な時間が必要だったわけです。

で、記事では、『黒毛、褐毛和種や日本短角種、無角和種の4品種とその交雑種で日本で生まれ育った事が証明出来た生肉』が和牛で、ホルスタインは国産牛だとしている。これを実際に店頭で理解出来る消費者は果たしてどれだけいるか?日本国内で生産された牛は全て“国産牛”とし、補足として“黒毛和種”とか“ホルスタイン種”、あるいは“交雑種”と表示すれば明解だと私は思うのですが、それではブランド好き消費者の優越感を満足させることも、その気になれば“濡れ手で粟”のごとく儲ける事も可能な業者(多くの生産者は除く)からの反発も必至ということなのでしょうか。こんな混乱が起こるのも、自分の舌や頭で考えるよりもメディアが取り上げた店や食材なら何でも美味いと思い込む貧しい民度が原因なのかもしれません。

ブランドなんてあてにはならないのですよ。日本の何処の生まれであろうと、“○○牛”の名が付くブランドの地へ一旦出荷し、そこで解体処理されればそこのブランドになってしまうのが現状、肉質によりランクの差はありますけど・・・。厳格な審査を経てブランド使用を許可している真面目な自治体もありますが、問題はその流通に関わる業者と小売業者。彼等がその気になれば、ノーブランド牛から有名ブランド牛を大量生産することなど容易いのです。どんなにマニュアルを作り体裁を整えようとも、それに携る者に良識と誠意が欠如していたら何にもならないのです。


BSE問題が最高潮に達した時、一部のスーパーでは商品に付いているバーコードをかざせば生産履歴が表示されるシステムを導入しました。やがてその流れは全国に広がり、店頭にそのシステムが無くても携帯やPCにバーコードを入力すれば同じように生産履歴が表示できるようになりましたが、これだってその気になればいくらだって偽装出来るのですよ。現在、一定規模以上の殆どのスーパーでは“オートパッカー”(価格シール貼り付けとパックを同時に行う機械)を使用しています。この機械の担当者は商品名の代わりにあらかじめ登録しておいたコードナンバーを入力しパッケージングと価格シールを貼る作業を行うわけですが、国産牛の場合はここで“個体識別ナンバー”を入力する作業が加わります。すると、価格シールの下部に生産履歴表示システムへアクセス出来るバーコードが印刷されます。

ところがこれが曲者?で、お店のオートパッカーにはこの個体識別ナンバーが蓄積されて行きます。このバーコードが印刷された価格シールを何枚何百枚出そうとも、任意に削除しない限りデータが消える事はありません。個体識別ナンバーは一頭に一つが当然ですが、その気になれば何十頭分でもクローンが作れるのです。でも連日同じナンバーではヤバイので、蓄積された数種類のナンバーを無作為に選んで日替わりで使用しているのです。わかりますか?そのお店の担当責任者の考え一つで、生産履歴の無い牛に戸籍をつけるのも指先一つで可能なのです。悪質な店や担当責任者の手にかかれば、豪州産だろうが米国産毒牛だろうが生産履歴など存在しないのに、それが保障された国産牛になってしまうのですよ。

少し分り難かったと思いますが、私もまだ命が惜しいのでこれ以上の詳細をここで書く事は出来ません。ただ、私が言いたい事は、「消費者よ、もっと賢くなってくれ!」ということです。多くの真面目な小売業の方が努力されている一方、ご立派な社是・社訓を掲げながら産地偽装・消費期限改ざん日常茶飯事の悪徳小売業も実在するのです。心地よい語句や表示に惑われることなく、自分の目で鮮度を含めた品質を見分る習慣をもって欲しい。疑うことは煩雑で寂しいことですが、自分と家族の命を守るためですよ、奥さん。


nice!(2)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 3

nina

後半の話の方がコワいんですけど・・・。
私もデジタル系の仕事をしていますのでよく分かりますが、結局はいくら機械やシステムを良くしたって、使う人間の心ひとつで良くも悪くもなるんですよね。
私は全く牛肉は買わなくなりましたが、豚や鳥や野菜も安心できませんよね・・・。
見た目じゃ区別なんかできませんし。
定期的に抜き打ちで遺伝子検査でもしない限り、偽造はなくならないんでしょうね・・・。
by nina (2006-12-20 22:24) 

ナカサン

>>noricさん
niceをありがとうございます。
by ナカサン (2006-12-21 16:50) 

ナカサン

>>ninaさん
nice・コメントをありがとうございます。
おっしゃる通りで、要は使う人間の良識が問題です。
今回は牛肉の偽装について書きましたが、
基本的には他の肉は勿論、野菜や他の食品でも似た様なものです。

>定期的に抜き打ちで遺伝子検査でもしない限り・・・
本当はそれが理想ですが、
遺伝子検査には莫大な費用がかかるため、
被害が広範囲に及ぶような事件で無い限り難しいのが現実です。
悪徳業者はそれを承知の上で偽装をやっているのですよ。

「一般人が私費(2、30万円)払ってまで遺伝子検査なんてする筈ねえだろう!」
「文句があるならサラ金で借金してでもやってみろ!」
そう私に言いましたからね、その悪徳業者は・・・・・。
by ナカサン (2006-12-21 17:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。